焼きおにぎり(イメージ)

「万人受け」を狙うな!

焼きおにぎり(イメージ)新製品・新サービスの開発に取り組む際の「落とし穴」は万人向けを目指してしまうことでしょう。

また、「万人向け」を目指さなくても、ネガティブなことを言ってくるかもしれない顧客層に配慮しすぎてしまうことによって、個性の弱い製品・サービスとなり、誰の顧客満足度も低いものとなり、顧客ロイヤルティの高いファン形成に失敗するということもしばしば起きています。

ニチレイフーズの冷凍食品「本格焼おにぎり」は従来、子供から大人まで幅広く支持されている商品ではありましたが、「子どもには焦げを食べさせたくない」という親に配慮して焦げ目を控えめにしていたそうです。

ところが、この「焦げ目控え目」のために、購入者からは「焼いているようにみえない」という評価にもつながっていたとのこと。そこで、ニチレイフーズでは、同商品のリニューアルに当たり、「焼き方」を変えることで品質を高めることを狙いました。

最適な焼き加減はもちろん、性別や年齢によって異なりますが、リニューアル商品では、「年配の男性にだけ認められる商品でもよい」と割り切り、しっかりと焦げ目をつける方針としたのです。

そうしてできあがった「本格焼おにぎり」は発売前の評価も上々であり、2014年3月の発売以降、通常の新商品の3倍の売上を記録したのです。

同社にとってうれしい誤算は、高校生以下の若い世代も、焦げ目の強い新おにぎりに対して「好き」と反応してくれたこと。すなわち、「若年層は焦げ目は好まないだろう」という仮説は間違っていたのでした。

焼きおにぎりはまさに「焼いてあること」が一番の価値であったはずですが、旧製品では、おそらく万人向けを目指すあまり、ネガティブ層への配慮が強すぎ、焼きおにぎりらしさを損なっていたということでしょう。

しかも、ふたを開けてみたら、ネガティブ層は、実はネガティブではなかったということもありえるわけですね。

新製品・新サービス開発担当者の気持ちとしては、できるだけ多くの人に受け入れてほしいと考えるものですが、やはりターゲットセグメントを明確にしてとんがりのある商品開発にとりくむことが有効であることを、「本格焼おにぎり」のケースは再認識させてくれますね。

*上記ケースは、日経MJ(2014/12/24)の記事から引用しました。

 

執筆:松尾順 Certified Net Promoter Expert

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