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アンガーマネジメントから学ぶ「顧客ロイヤルティ」を向上するコミュニケーション

angry girl近年注目を集めている「アンガーマネジメント」

アンガーマネジメントは、ひとことで言えば「自分の‘怒り’という感情を上手に制御できるようになるための知識・テクニック」です。私もまだ学び始めたばかりなのですが、アンガーマネジメントにおいて特に覚えておきたいことはつぎの2点。

1.なるべく怒らないようにすることを目指すのではない

「怒り」という感情は、「嬉しい」や「悲しい」、「楽しい」といった感情と同様、人が持つ自然な感情であり、時に怒ることも必要です。もし、あなたを裏切ったり、だましたりする人に怒りを覚えなかったら、あなたは、そうした悪人のいい食い物にされてしまうでしょう。

また、ノーベル物理学賞を受賞した中村修二氏のように、「怒り」が、有益なものを産み出すモチベーションとなることもあるわけです。

したがって、アンガーマネジメントでは、怒る必要があるときと、怒る必要がないときの明確な線引きができるようになることを目指します。(ただ、結果的に、怒る必要のないときにイライラすることが減るので、あまり怒らなくなるという効用がありそうですね)

2.「怒り」という感情を上手に表現できるようになることを目指す

「怒り」を覚え、それを相手に伝える必要があるとき、注意したいのは、相手を傷つけたり、あるいは自分自身を傷つけたり、また物を壊したりしないようにすること。

怒りをそのような言動で表すことは新たな問題を引き起こす可能性がありますから、衝動的にならず、冷静な言動を取れるようになることを目指すのがアンガーマネジメントです。

 

さて、アンガーマネジメントは、コールセンターのオペレーターや、修理保守担当のサエンジニアなど、お客さまが「怒り」の感情をぶつけてきやすい顧客接点において「顧客ロイヤルティ」を向上させることにも役立ちます。

心理学の感情研究によれば、「怒り」は2次感情とされています。

人が好ましくない状況に直面したとき、まず私たちは「不安」や「痛み」、「苦しみ」、「嫌悪感」、「寂しさ」、「悲しさ」といった1次感情を持ちます。いきなり「怒り」を覚えるのではないのです。

そうした1次感情が、心のコップにたまっていき、ついにコップ一杯になって溢れ出すとき「怒り」の感情となって表出するわけです。すなわち、「怒り」の前には必ずなんらか、怒りの元となる、不安や嫌悪などが存在しています。

ですから、怒りを顕わにしている顧客に対応するとき、単純にその怒りをなだめようとするのはあまり効果がありません。むしろ、怒りの源泉である「1次感情」に焦点を当てて共感を示すことが大切。

たとえば、

とても不安をお感じになったのですね(だからお怒りになってらっしゃるんですね)」

と顧客の怒りの奥にある気持ちを汲んであげれば

「この人は私の気持ちを理解してくれている」

と安心し、怒りが収まってくるのです。

お客さまが、不愉快な顧客体験に立腹し、企業に連絡してきたとき、顧客ロイヤルティが大きく低下している状況です。

しかし、そうした顧客の感情を適切に受け止め対応することができれば、仮に問題そのものが解決しなかったとしても、顧客ロイヤルティの回復が期待できます。また、場合によっては、自社に対する信頼や愛着が以前よりも高まり、顧客ロイヤルティ向上につながることさえあります。

顧客の抱える「問題」と同時に「感情」とも向き合うことが「顧客ロイヤルティ」向上には不可欠。アンガーマネジメントの知識・ノウハウはいろいろと活用できそうですね。

 

関連リンク:

一般社団法人 日本アンガーマネジメント協会

 

執筆:松尾順 Certified Net Promoter Expert

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