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クリーニング屋さんが「洗濯のノウハウ」を顧客に教えると客が減るのか?

ワイシャツ小阪裕司氏が長年連載されている日経MJのコラム『招客招福の法則』の最新記事(2014/12/10)では、あるクリーニング店が、自宅で洗える衣服を持ってきたお客さんに対して、自宅での洗い方を教え、その衣服を預からずそのまま返した、というエピソードが紹介されています。

このクリーニング店は、顧客向けに「洗濯会議」「洗濯教室」といったイベントを開催して、自宅でできる洗濯のノウハウを教えているそうです。

こうした行動は同店の売上を下げてしまうのではないかと感じますが、現実には同店の売上は増えているのです。

このクリーニング店のオーナーが、プロのノウハウを提供する代わりに得ているのは、「顧客の信頼」です。そして、「信頼」は、「顧客ロイヤルティ」の最も基盤となる要素です。

もし、NPS®(Net Promoter Score:ネットプロモータースコア)を測定したら、極めて高い得点になるのではないかと思います。

顧客の自宅での洗濯技術をいくら向上させたところで、クリーニング店に頼まなければならない衣類というのは必ず残るわけです。そうした衣類は、よりきれいになる洗濯の仕方を教えてくれるこのお店にぜひとも頼みたいと思うのが顧客の心情でしょう。

小阪氏は指摘していませんが、同店の売上が伸びる一方で、近隣の競合クリーニング店の売上が下がっている可能性が高いですね。なぜなら、顧客にとって価値ある知識、ノウハウを提供することで、競合店に勝てる「信頼」を得ることに成功しているからです。

近年、単なる製品情報だけでなく、顧客が楽しめる、また価値ある情報を積極的に提供する「コンテンツマーケティング」が注目されています。このクリーニング店は、リアルなイベント、また日々の接客を通じて「コンテンツマーケティング」を実践していると言えるでしょうね。

クリーニング業界にとどまらず、どんな分野でも、プロにとっては常識だけど一般消費者にとっては目から鱗の知識、ノウハウはたくさんあるはず。

そうした知識、ノウハウをWebサイトなどのオンラインを通じて、またリアルなイベントを通じて顧客・見込み客に提供することは、競合優位性を構築することに極めて高い効果があります。

 

執筆:松尾順 Certified Net Promoter Expert

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