「場の共有」って大事ですね!

Group of Diverse Business People in a Meeting最近、海外企業と協力して行うシステム開発などのプロジェクトに「ブリッジ役」(橋渡し)として関わる機会が増えてきました。

プロジェクトの進捗確認はeメールやスカイプ会議などを通じて 実施しますが、直接会ったことが一度もないメンバーとのやりとりは、なにか「もやもやしたもの」を常に感じるんですよ。

この「もやもや感」というのは、おそらくお互いの距離感みたいなものがつかめないからなんでしょうね。同じような役割を果たしている方なら、この感覚がなんとなくおわかりになるのではないでしょうか?

ところが、こちらが向こうに出張したり、あるいは先方が日本に出張してきて、一度でも顔を合わせた後はとたんにコミュニケーションが楽になります。それ以前が必ずしもうまくいっていなかったわけではないのですが、より円滑になるのです。

さて、近年、ワークライフバランスの視点から、在宅勤務制度を導入したり、コスト削減のため、人件費の安い海外に開発拠点を置く、あるいは外国企業に業務の一部をアウトソースするというのが一般的になってきましたが、対面(フェイス・トゥ・フェイス)でのコミュニケーションの機会がない、あるいは減少することは、チームとしての生産性低下をもたらしてしまうことは間違いないようです。

ミシガン大学のエレナ・ロッコ氏は、以下の3種類のチームのどれが最も高い業績を残せるかを実験で検証しました。

1 メンバー全員がずっと同じ場で働く

2 メンバーはそれぞれ別の場所で働く。一度も対面しない

3 メンバーはそれぞれ別の場所で働くが、プロジェクト開始時にいちど顔を合わせる

これらのうち、業績がダントツの最下位だったのは、2の最初から最後までメンバーがそれぞれ別の場所で働き、一度も顔を併せないチームでした。

逆に、最も業績が良かったのは、1のメンバー全員がずっと同じ場で働く場合でした。ただ、3の、最初に1度顔を合わせてから別々の場所で働くメンバーの業績も、最も業績が良かったチームと大差はなかったのです。

この実験結果は、冒頭で述べた私自身の実務での実感とも一致しています。

同じ場所でメンバーがずっと一緒に働けるのが生産性も高く理想ではあります。ただ、現実的にそれが難しいときには、ともかく最初に会う機会を作ることが、その後のプロジェクト進捗に大きな影響を与えるわけですね。

在宅勤務を運用する場合も、既にそうしている企業が多いのですが、定期的にオフィスに出社して同僚や上司と顔を合わせ、直接コミュニケーションができる機会を設けることが、在宅勤務者のモチベーションを維持し、業務効率を改善することに効果があることが分かっています。

このあたりの研究は、

「従業員幸福」を高めるエンプロイーエクスペリエンス(従業員経験)はどんなものなのか

を考える上でとても有益だと思います。

*エレナ・ロッコ氏の実験は、『職場の人間科学』から引用しました。

参考文献:

『職場の人間科学 ビッグデータで考える「理想の働き方」』(ベン・ウェイバー著、早川書房)

執筆:松尾順 Certified Net Promoter Expert

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